子犬は一般的に吐きやすいと言われています。それは子犬の消化器官が未発達であることも理由の一つです。
そうは言っても、突然愛犬が吐いてしまったら飼い主さんは不安になりますよね。また、中には病気が原因の嘔吐もあるため注意が必要です。
この記事では、子犬が吐く原因や、吐いてしまった時の対処法、注意点についてご説明します。
子犬が吐きやすい理由
子犬が苦しそうに吐く姿を見ると、当然飼い主さんは心配になるでしょう。
そもそも、なぜ子犬はよく吐いてしまうのでしょうか。ここでは、子犬が吐きやすいと言われる2つの理由についてご説明します。
消化器官が未発達
成長期である子犬は、胃や食道などの消化器官が未発達のため吐きやすいと言われています。
また、成長に合わせて食事の量や質などバランスを整えるのが難しい時期でもあることも、成犬よりも吐くことが多い要因です。
四足歩行の体の構造
犬が四足歩行に適した体の構造であることも、吐きやすい理由の一つです。
これは成犬にも言えることですが、犬は消化器官が口から胃まで地面と平行になっています。人間は胃から物を出そうとした場合、下から上に出すので重力が伴い大変なエネルギーを要しますが、犬はそれと比較すると容易に吐くことができるのです。
子犬が吐く原因
子犬が吐きやすい理由はわかりました。では、子犬が吐く原因は何が考えられるのでしょうか。子犬が空腹時に吐きやすいことはよく聞くかれますが、中には病気が原因の可能性もあります。
ここでは、子犬が吐く6つの原因についてご説明します。
ドッグフードの早食い・水の一気飲み
子犬が吐く原因として、ドッグフードの早食いや水の一気飲みが考えられます。
子犬は消化器官が未発達なので、一度に大量のドッグフードや水を飲み込むと上手に処理しきれません。ドッグフードをのどに詰まらせてしまったり、余分な空気をドッグフードと一緒に飲み込んでしまったりして、吐いてしまうことがあります。
ドッグフードの消化不良
ドッグフードが原因で消化不良を起こし、未消化のドッグフードを吐くこともあります。
固形のドッグフードや固めのオヤツなどをあげると、消化器官が未発達な子犬は消化不良を起こしてしまうことがあります。ドッグフードをぬるま湯でふやかしてあげると消化しやすくなるのでおすすめです。
また、子犬は生活環境の変化や季節の変わり目にストレスを感じ、それが原因で消化不良になることもあるので注意しましょう。
空腹
子犬は、空腹が原因で吐いてしまうことも多いです。
空腹で胃が空っぽになると胃酸が増え、吐きやすくなると言われています。なお、空腹が原因の場合は、起きたばかりの早朝に吐くことが多いのも特徴です。
一日の食事の回数を3回以上に分けるなど、空腹を感じる時間が短くなるように工夫するとよいでしょう。
誤飲・誤食
子犬は、オモチャなど食べ物以外の物を誤飲・誤食し吐くこともあります。
子犬は成犬よりも好奇心旺盛で、何でもかじったり飲み込んだりしてしまいがちです。そのため誤飲・誤食事故が起こりやすい傾向にあります。異物を吐き出せないと、腸に詰まって開腹手術が必要になることもあるため注意が必要です。
部屋の中を片付けるなど、子犬の生活環境を見直すことも大切でしょう。
乗り物酔い
車に乗ることに慣れていない子犬は、乗り物酔いをして吐いてしまうこともあります。
特に、犬は人よりも嗅覚が優れているので、ガソリンのニオイに強い刺激を受けてしまうことが考えられるでしょう。また、狭い空間で長時間揺られることにストレスを感じる場合もあります。
子犬を車に乗せる時は、短距離・短時間から慣らすようにし、乗る直前の飲食は控えるようにしましょう。
中毒
チョコレートや玉ねぎ、ブドウなど、犬にとって中毒性のある物を食べてしまったことが原因で吐くことも考えられます。食欲や好奇心が旺盛な子犬は、誤って中毒性のある物を口にしてしまうことも少なくないでしょう。農薬の撒かれた草を食べてしまう事故も起きています。
子犬が中毒症状を起こしている場合には、嘔吐以外にも、下痢や発熱、けいれんといった症状を伴い、命にかかわることもあります。愛犬が中毒性のある物を食べてしまった時は、症状が出ていなかったとしても速やかに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
病気
胃や肝臓、すい臓などのトラブルや、感染症といった病気が原因となる場合もあります。
特に、嘔吐物が茶色や黒の場合には血液が混ざっている可能性があり、胃潰瘍や消化器官の腫瘍といった病気が疑われます。すぐに動物病院を受診するようにしましょう。
また、子犬は免疫力が低いため、犬パルボウイルス感染症や犬ジステンパー感染症といった感染症にもかかりやすいと言われています。感染を防ぐためにも、混合ワクチンは忘れずに打つようにしましょう。
子犬が吐いてしまった時の対処法
愛犬が突然吐くと飼い主さんも焦ってしまい、対応に困ることでしょう。ここでは、子犬が吐いてしまった時に飼い主さんができる対処法についてご説明します。
落ち着かせて休ませる
子犬が吐いてしまったら、まずはケージに入れるなどして落ち着かせるようにしましょう。
吐いた後も元気なようであれば、子犬はすぐに動き回るかもしれません。興奮して胃が刺激を受けるとまた吐きやすくなってしまうため、静かな環境で子犬を休ませてあげましょう。
ドッグフードや水をあげるのを控える
子犬が吐いてしまった直後は、ドッグフードや水はあげないようにしましょう。吐いた後すぐにドッグフードや水をあげると、再び吐いてしまうことがあるからです。
状況によっては絶食が必要なことありますが、空腹が原因で吐いた場合には、少し時間を空けてからいつものドッグフードを少量ずつあげるようにしましょう。ドッグフードをぬるま湯でふやかしてあげると消化もよくなります。
こんな時はすぐ動物病院へ
子犬が吐いてしまった時、飼い主さんは愛犬の状態をよく観察するようにしてください。そして、次の症状が見られた時には、すぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。その際、吐いた物や愛犬の様子を写真に撮っておくと診察に役立ちます。
繰り返し吐く時
子犬が繰り返し吐く時は、消化器官の病気などが原因となっている場合があります。
また、繰り返し吐くと、子犬は脱水症状を引き起こし、体力も奪われてしまいます。胃酸が逆流して食道を荒らしてしまうリスクもあるため、注意が必要です。
嘔吐以外の症状も見られる時
吐くと同時に、軟便や下痢、元気がない、食欲不振、といった症状が愛犬に見られる時は、感染症などの病気の疑いがあります。
特に犬パルボウイルス感染症は子犬に多く見られ、最悪の場合死に至ることもある危険な病気です。
嘔吐物に異物が混ざっている時
嘔吐物の中にオモチャの欠片などの異物が混ざっている時は、子犬が異物を飲み込んでしまったことが考えられます。すべて吐き出せていればよいのですが、まだ体内に残っている場合には、腸に詰まって腸閉塞を引き起こしてしまう危険があります。
異物を取り出すためには開腹手術が必要となる場合もあるでしょう。
茶色や黒の嘔吐物を吐く時
茶色や黒の嘔吐物を吐く時は、血が混ざっていることが考えられます。こうした状況は、内臓など体内で出血しているか、重度の胃潰瘍や消化器官の腫瘍を引き起こしている可能性があるため注意が必要です。
まとめ
子犬は消化器官が未発達なので、吐きやすいと言われています。
子犬が吐いてしまう原因は、ドッグフードの早食いや空腹といったことから、中毒や消化器官の病気など命にかかわることまで様々です。
子犬が吐いてしまった時には子犬の様子をよく観察し、嘔吐を繰り返したり、下痢など嘔吐以外の症状を併発していたり、嘔吐物の中に異物や血が見られたりした場合には、すぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。