老犬・シニア犬になれば、人間と同じように犬も体力が衰えていきます。若い頃は活動的であった愛犬も、年老いてくると体が辛そうな場面も見えてくるでしょう。
年老いた愛犬に対しての散歩は「負担になるのでは?」と心配する方もいると思いますが、散歩は筋力の維持やストレス発散の効果があります。それでは老犬の適切な散歩量とはどれくらいなのか気になりますよね。
この記事では、老犬に適切な散歩時間や注意点、対処法について紹介していきますので、ぜひ愛犬との散歩にお役立てください。
老犬に必要な散歩時間
老犬になると、歩くスピードが遅くなったり、転倒が増えたりすることがあります。
そのため、1回10分の散歩時間を目安に、1日に2〜3回に分けて散歩に連れ出してあげましょう。老犬は筋力が低下していて疲れやすいので、運動する時間を細かく分けて調整するのがおすすめです。
散歩は、老犬の心身に良い影響を与えてくれる効果があるので、たとえ足腰が弱ったとしても、できる限り外に連れ出してあげたいところです。しかし、散歩の回数はあくまでも目安になります。愛犬に合わせた運動量に調整してください。
その他、散歩コースの工夫をして家の周りを歩くなど、短い時間での運動も良いでしょう。その日の愛犬の調子に合わせて時間やコースを変更する判断も必要になります。
愛犬の足元がおぼつかなくなったり、何度も散歩へ連れ出すのが難しい場合は、抱っこやカートに乗せて外の景色を見たり、公園の芝生に触れさせるだけでも良い気分転換になります。
老犬の正しい散歩方法とは
老犬と言っても、状態は犬によって様々です。ここでは、犬の状態に合わせた散歩方法をご紹介します。
自力で歩ける場合
老犬は年齢とともに筋力が低下し、散歩中に疲れた様子を見せたり、立ち止まって動かなくなる場合があります。
しかし、「犬が歩かないから」という理由で散歩を止めてしまうと、運動機能が弱まってしまうのに加えて刺激も少なくなり、認知症になりやすくなります。また、肥満や糖尿病のリスクも上がってしまいます。
わずかな運動でも続けることで筋肉や関節の動きを維持できるので、愛犬の負担にならない程度の運動をさせてあげましょう。
老犬の散歩コースのおすすめは、緩やかな坂や平坦な道です。たまにコースを変えることも脳にとって良い刺激になります。散歩の途中には、休憩を入れることも忘れないようにしたいですね。
足腰が弱くなっている場合
足腰の筋力が弱ってきた場合には、歩行補助ハーネスを装着してあげましょう。首輪と違って、犬の首にかかる負担を減らせるので苦しさを軽減できます。
老犬におすすめのハーネスは、後ろ足をサポートしてくれるタイプのものです。後ろ足から上がらなくなる老犬が多いので、まずは部分サポートタイプから試してみましょう。
他に前足用、四肢全てを支える用といったハーネスもありますが、犬の体格に合わせてサポートしたい部分や用途にあったものを購入してください。
初めてハーネスをつける時は、サイズが合っているかを確認することと、散歩前に室内で歩いて違和感がないかを見てから外に行きましょう。
寝たきりの場合
歩くことが難しい犬には、抱っこやペットカートを使うのがおすすめです。公園など安全な場所まで連れていき、芝生の上を少し歩かせたり、日光浴をしてもいいですね。
老犬は視力や聴力が低下していても、それ以外の感覚で散歩を楽しもうとします。また、犬には元々「歩きたい」「立ちたい」といった本能もあります。
家の中でずっと寝たきりでは脳も刺激されなくなってしまうので、認知症を予防するためにも無理のない範囲で外に連れ出してあげましょう。
散歩中に気をつけること
シニアになると、体力が衰えてくるので十分な注意が必要です。以下のことに気をつけて、万が一の事態に対処できるようにしましょう。
ウォーミングアップをする
突然の運動は老犬の体に大きな負担がかかります。散歩に行く前は、関節のマッサージや屈伸運動などのウォーミングアップをしてから出かけましょう。
ウォーミングアップをすると、筋肉がほぐれて体が温まるので関節のトラブルを減らせます。また、心臓の負担を軽くするために室内や庭で少し歩かせてあげてもいいでしょう。
時間や気温に注意する
体温調節が難しくなる老犬には、夏場の水分補給が欠かせません。水を飲む量が不足すると脱水症状が起こり、熱中症になることもあります。
散歩の時には、水分補給と合わせて体を冷やせる量のペットボトルを持参しましょう。認知症であれば喉の渇きに鈍感になってしまうので、飼い主さんからのこまめな対応が必要になります。
一方で、冬は洋服を着せて急な体温の低下を防ぎます。また、散歩の時間帯はなるべく日中の暖かい内に出かけましょう。散歩前後には軽くマッサージやストレッチをして血流を促し、体を温めてあげてください。
携帯電話と財布を持ち歩く
老犬との生活では、散歩中の体調不良を予測しておくことも重要です。携帯電話と財布を持ち歩き、万が一の事態に備えておきましょう。
散歩コースに動物病院があるのかを事前に調べておくと、さらに安心ですね。また、家族にもいざという時の対応を共有しておくと冷静に対処できそうです。
散歩に行きたがらない時は?
老犬が散歩に行きたがらない理由は主に2つあります。対処法を知って、無理のない運動をさせてあげましょう。
体の不調
1つ目は体の不調です。まだまだ元気そうに見えていても、体は年齢とともに少しずつ変化が起きています。体調があまり良くなさそうな時は、無理に散歩へ連れ出さず、様子を見てください。
少し歩けそうかなと思った時は、散歩時間を短くしたり、緩やかな散歩コースを選んであげましょう。もしも散歩中に立ち止まるようなことがあったり、歩き方が変わった場合は、足裏の怪我や関節の痛みが出ている場合があります。
その時は、すぐに動物病院へ向かいましょう。問題がないようであれば、お菓子で誘導したり、リードで軽く引っ張って合図をするなどして散歩を続けましょう。
精神的な不調
2つ目は精神的な不調によるものです。意欲や好奇心の低下といった様子が見られた時には、しばらく観察してください。
抱っこやカートに乗せて数分の散歩から外に出してあげるのも良いでしょう。気分が乗って散歩を続けてくれることもあります。
愛犬がいつもと違う行動を見せたら、そこにはきっと理由があるはずです。何かしらの病気のサインや違和感があれば、無理をせずに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
まとめ
今回は、老犬の散歩方法についてご紹介しました。散歩には、犬のストレス解消や認知症の予防、足腰を鍛える効果があります。
その他にも、肥満や糖尿病の予防などたくさんのメリットがあるので、できるだけ十分な運動量を確保しておきたいところです。寝たきりになったり、散歩に連れ出すことが難しくなったりした場合には、抱っこやカートなどを使った散歩でも良いでしょう。
犬にとって、散歩は飼い主さんとの大事なコミュニケーションです。愛犬に合わせた散歩で楽しい時間を過ごしてくださいね。