「まずは何をしたらいい?」
そう思っていませんか?
結論からお伝えすると、子犬のしつけは生後2〜3ヶ月から始め、遅くても1歳頃には終えることが理想です。
なぜなら、犬の脳は生後2〜3ヶ月程度まで発達過程にあるためしつけを覚えることができません。そして犬の成長は早く、犬の1歳は人間の17歳に換算されるため、1歳を過ぎると新しいことを吸収しにくくなってしまうからです。
子犬にしつけをする際は、まず飼い主との信頼関係を築くことから始めましょう。信頼関係を築けている目安は、
・近づいても逃げない
・身体のどこでも触らせてくれる
・身体をくっつけてくる
といった点です。このように子犬が飼い主を信頼している合図が見られたら、人間と犬が一緒に暮らしていく上で最低限必要なしつけを教えていきましょう。
子犬の具体的なしつけは、次の通りです。
子犬のしつけ
・名前を覚えさせる
・アイコンタクト
・トイレ
・ハウス
・おすわり
・待て
・甘噛みの抑制
・無駄吠えの抑制
・散歩に向けたしつけ
これらは基本的には難しいものではなく、人間と子犬が一緒に暮らしていくために必要なしつけです。とは言え子犬がしつけを覚えるのは簡単ではなく、すぐに結果が出るものではありません。事前に教える順番やコツをしっかりと把握して、根気よく教えていくことが大切です。
そこでこの記事では
◎子犬のしつけを始める時期
◎子犬のしつけを教える順番
◎子犬のしつけ方法と成功させるコツ
◎子犬のしつけをおこなう際の飼い主の心構え
◎子犬のしつけでしてはいけないこと
などについて解説していきます。この記事を最後までお読みになれば、子犬のしつけを始める時期やしつけの方法、コツなどが分かり、子犬のしつけに成功することができるでしょう。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。
1.子犬のしつけは生後2〜3ヶ月の「社会化期」に始めよう
冒頭でもお話した通り、子犬のしつけは生後2〜3ヶ月から始めるのが最適です。なぜなら、生後2〜3ヶ月は犬にとって「社会化期」と呼ばれる時期で、子犬は社会化期に環境や他者との関係性からたくさんの刺激を受け、学んでいきます。
※「w」は週を示します
社会化期にはたくさんのことを吸収しやすいので、犬同士の関わりや人間との関わりを積極的に持たせ、さまざまな場所に連れて行くとよいでしょう。
そもそも一般的に私たちがペットショップなどから子犬を迎え入れる場合、「動物愛護法」により生後2ヶ月からと決まっています。そのことから、子犬のしつけは家族に迎え入れてからすぐに始めるのが最適だと言えます。
そして、子犬のしつけは遅くても1歳までには終えるのが理想です。次の表をご覧ください。
月齢 | |||||||
犬 | 2ヶ月 | 3ヶ月 | 4ヶ月 | 5ヶ月 | 6~8ヶ月 | 9ヶ月 | 1歳 |
人間換算 | 2〜3歳 | 4〜5歳 | 6〜8歳 | 9〜10歳 | 11〜13歳 | 14〜16歳 | 17歳 |
この表のように、犬の成長は人間の何倍ものスピードで進んでいきます。小型犬の場合、犬の1歳は人間の17歳で、成人の一歩手前です。
人間の17歳に新たな社会性を急に覚えさせても、なかなか吸収できないのは想像できるのではないでしょうか。
もちろん、人間でも大人になって学び直しができますから、1歳以降のしつけが無意味だということではありません。ただ、何歳になっても覚えることはできますが、子犬の頃よりも教える側の根気が必要になることを念頭に入れておきましょう。
2.正しい順番に基づいた子犬に覚えさせたいしつけ一覧
子犬のしつけのタイミングが生後2〜3ヶ月からだということがお分かりになったところで次に気になるのが、「いつ、何のしつけを教えていけば良いのか」ということですよね。
結論からお伝えすると、子犬のしつけを始めるのは生後2〜3ヶ月から環境や飼い主に慣れた時がタイミングになります。
「このしつけをこの月齢で教えなければいけない」というような、しつけごとに決められた月齢の時期はありません。
だからと言って、まだ名前も覚えていない子犬にいきなりおすわりを教えようとしても難しいでしょう。それは人間に例えると1歳児に一人で料理をすることを教えるようなもので、基礎的な部分を教えずにレベルの高いことを教えようとしても覚えることはできないのです。
このように、子犬のしつけは人間の子どもに教えるのと同じようにできるだけ簡単なしつけから1つずつ取り組んでいくことが重要です。正しい順番で教えていけば子犬も理解しやすくなります。
そこで、正しい順番に基づいた子犬に覚えさせたいしつけを一覧にまとめましたので、ご覧ください。
時期 | しつけの種類 |
迎え入れてすぐ | 名前を覚えさせる |
アイコンタクト | |
信頼関係ができたら 徐々に |
トイレ |
ハウス | |
おすわり | |
待て | |
甘噛み抑制 | |
無駄吠え抑制 | |
ワクチン接種頃 (3〜6ヶ月) |
散歩に向けたしつけ |
この表からもわかるように、子犬のしつけはまずアイコンタクトや名前を覚えさせるなど子犬と飼い主の信頼関係を築くことから始めます。
そして、信頼関係を構築できたら最初はトイレなど簡単なことから始め、子犬が慣れてきたら徐々に難易度の高いしつけを教えていきましょう。
生後3ヶ月頃になると、ワクチン接種のため外に出る機会も増えてきます。そこでワクチン接種頃に合わせて、徐々に散歩デビューに向けたしつけも必要です。
子犬が飼い主に見せる「信頼の証」 |
先ほど「子犬のしつけは飼い主との信頼関係ができてから」、というお話しをしました。では子犬のどんな様子が見られたら信頼されているサインなのかをお伝えしていきましょう。
子犬が飼い主に見せる信頼のサインは、次の4つです。 ・お腹を見せて寝転ぶ このように、お腹や背中、お尻などの身体の弱い部分を飼い主に見せてくるのは信頼されている証です。また、そばでぐっすり眠ってくれたら、警戒心がないと見て問題ありません。 |
3.【取り組む順番別】子犬のしつけ方法
では、子犬のしつけ方法について、取り組む順番別に説明していきます。ここで説明する順番通りにしつけを始めれば、子犬のしつけに成功することができるでしょう。
先ほども説明しましたが、子犬のしつけは次の順番で行います。
【子犬のしつけの順番】
・名前を覚えさせる
・アイコンタクト
・トイレ
・ハウス
・おすわり
・待て
・甘噛みの抑制
・無駄吠えの抑制
・散歩に向けたしつけ
それぞれの項目について詳しく説明していきますので、ぜひしつけの参考にしてみてください。
3-1.名前を覚えさせる
どんなしつけをするにせよ、まずは子犬の名前を覚えさせることが必要です。名前を覚えさせるには、名前とご褒美を連動させると上手くいきます。
具体的には、
①名前を呼ぶ
②子犬が反応したら褒める&おやつ
この2つを根気よく繰り返していけば、「この言葉はいいことがあるお知らせだ!」と、名前を認識することができます。
<point>
◎名前を呼びながら身体を撫でたり褒めたりすると、「名前=うれしい事」だと認識できる
◎家族で呼び名を統一する(NG/「おチビちゃん、ワンちゃん」などと名前と違う呼び名で呼ばない)
3-2.アイコンタクト
名前と同様、アイコンタクトもすべてのしつけの基礎となる部分です。犬は本来、本能的に相手と目を合わせることをしない動物です。動物の世界で目を合わせるということは、敵対することになるからです。そのため、アイコンタクトができるということは、飼い主を信頼している証拠にもなります。
具体的な方法は次の通りです。
①名前を呼び、飼い主と目を合わせられたら褒める&おやつ
②①の方法を、さまざまな状況で試す
最初は近くにいるときから試し、次に遠くにいる時、慣れてきたらおもちゃで遊んでいる時や他の人がいる時など、どんなシチュエーションでもアイコンタクトができるようになるのが理想です。
<point>
◎無理に覗き込んだり、目線を合わせようとしない
◎飼い主から最初に目を逸らさないようにする
3-3.トイレ
名前を覚え、アイコンタクトができるようになったら、実践的なしつけに入っていきましょう。中でもトイレは最初に覚えさせるべきしつけです。犬と人間が同じ空間でストレスなく過ごしていくためには、きちんとトイレを覚えてもらう必要があるからです。
トイレトレーニングは子犬を迎え入れたらできるだけ早く始めることが重要です。とは言え、子犬を迎え入れたばかりでまだアイコンタクトもままならないような状態の時期は、一旦ゲージの中にトイレを置いておくだけで十分です。
何度もお話している通りまずは子犬と飼い主の信頼構築が最優先なので、尿意がありそうならトイレに移動させ、子犬が粗相をしてしまっても怒ったりしないなど、ゆったりと構えておきましょう。
とは言え、どこでトイレをしても注意されない状況が長引くほど、子犬にとってトイレ以外の場所で用を足すのが習慣化してしまったり、どこでも構わずしてしまうようになってしまいます。
一度身についてしまった習慣を正すのは、新しいことを覚えさせるより大変です。そのため、名前を覚えアイコンタクトもできるようになったらすぐに、トイレトレーニングを始めましょう。
では、早速具体的な方法をお話ししていきます。子犬にトイレを教える際は、全部で3STEPの過程が必要です。2〜3週間で覚えさせるといいでしょう。
【STEP1】
①子犬をゲージに入れて遊ばせておく
②床の匂いを嗅ぎ始めるなど、トイレに行きたい素振りを見せたらトイレに移動させる
③排泄できたら褒めてあげて、おやつを与える
④15分くらい経っても排泄できないようであれば、再度ハウスに戻して様子をみる
【STEP2】
①子犬をゲージの外で遊ばせておく
②トイレに行きたい素振りが見られたら、トイレに連れて行く
③排泄できたら褒めてあげて、おやつを与える
④15分くらい経っても排泄できないようであれば、再度遊ばせて様子をみる
【STEP3】
①子犬をゲージの外で遊ばせておく
②トイレに行きたい素振りが見られたら、おやつでトイレまで誘導する
③排泄できたら褒めてあげて、おやつを与える
④15分くらい経っても排泄できないようであれば、再度遊ばせて様子をみる
⑤①〜④を繰り返し、最終的にはおやつがなくても自分からトイレに行けることがゴール
<point>
◎見てない間に粗相されても怒らない
◎トイレの近くにマットなど紛らわしいものを置かない
◎はみ出たりずれたりしないように、トイレシートはしっかり広めに敷く
3-4.ハウス
トイレの次に子犬に教えるべきなのは、ハウスです。ハウスとは、ゲージやキャリーに入ることを指示するしつけ用語で、子犬だけで留守番させる際や、お出かけ時にキャリーに入ってもらう際にも役立ちます。子犬の時期は動物病院に行く機会も多いので、「ハウス」を覚えておくと非常に便利です。
「ゲージやキャリーに入れるのは可哀想」と感じる人も多いと思いますが、実は犬は狭くて暗い場所が好きです。その上、お留守番時や災害時にはゲージやキャリーに入っていた方が安全が確立されるというメリットもありますので、ハウスは必ず覚えさせましょう。
具体的な方法は次の通りです。
①ゲージやキャリーの入り口を開放し、いつでも入れる状況にしておく。ゲージは家族の様子が見えて安心できる場所を選ぶ
②子犬をおやつでハウスまで誘導する
③子犬が近くまで来たらおやつを投げ入れる。最初は入り口の近くに、徐々に奥に入れる
④③で全身をゲージに入れることができるようになったら、おやつを投げる時に「ハウス」と指示する
⑤おやつを投げるフリをして「ハウス」と指示する
⑥ハウスができたらおやつをあげる
<point>
◎普段からゲージを一定の場所に設置し、ゲージに警戒心を抱かせず安心できる場所だと思ってもらう
◎力ずくで押し込めたり無理矢理入れようとしない
◎たくさん遊んで子犬の欲求が満たされている状態でおこなう
3-5.おすわり
「おすわり」はさまざまなしつけをする際の基本姿勢になります。そのため、トイレとハウスのしつけが終わったら、できるだけ教えるようにしましょう。
おすわりの教え方は次の通りです。
①手の中におやつを握り、匂いを嗅がせておやつを認識させる
②①の手を子犬の真上にかざす。おやつが欲しくて上を向き続けるとそのうち疲れてお尻をつけるので、その瞬間に「よし!」などと褒め、おやつをあげる
③②を何回かやって座ることができるようになったら、次はお尻をつけた瞬間に「おすわり」と言う
④できたら褒めて、おやつをあげる
<point>
◎静かで集中できる環境を作る
◎子犬がお尻をつけた瞬間を見逃さないで褒める
3-6.待て
「待て」ができると、子犬の衝動的な行動の防止につながるほか、他のしつけをおこなう際にも役に立ちます。そのため、子犬を迎え入れてトイレやハウスを覚えたら、できるだけ早く教えるようにしましょう。
具体的な方法は次の通りです。
①飼い主が手の中におやつを持ち、子犬をおすわりさせる
②子犬がおすわりをしてじっと待てている状態の時に、「ヨシ」と言っておやつをあげる
③最初は1〜2秒からスタートし、徐々に時間を伸ばしていく
④長く待てるようになったら、飼い主が後ろに下がって距離を取り、離れたところからでも指示できるようにする。最初は1〜2歩の距離から始め、徐々に距離を伸ばしていく
<point>
◎「おすわり」ができてから教える
◎最初は1〜2秒待てればOK
◎立ち上がってしまったらおやつはあげないこと
3-7.甘噛みの抑制
子犬の甘噛みの抑制は、これまで説明してきたしつけと並行して教えていきましょう。
子犬の甘噛みには、
・歯ぐきがかゆい
・遊んでいるつもり
・ストレスがある
といった理由が隠されていますが、どのような理由にせよ、甘噛みを放っておくと子犬は「噛んでもいいんだ」と思い、成犬になっても他の犬や人間を噛むことに抵抗がなくなってしまいます。いわゆる「噛み癖」がついてしまうのです。
噛み癖がついてしまうと、他の犬や人間、飼い主にも怪我をさせかねません。そのため、甘噛みは例えどんなに可愛らしくても、子犬のうちから抑制する必要があります。
甘噛みを抑制する方法は次の通りです。
しつけの前に。まずは子犬にストレスがかかっていないか確認しましょう。外に出ていない、全く遊んであげていない、という状況であれば、しつけをする前にストレスの元を取り除いて様子をみてください。
①子犬が甘噛みをしてきたら、遊びをやめる
②無視をする
③しばらくしたら再度遊ぶ
④①〜③を繰り返す
<point>
◎可愛い子犬を無視するのは心が痛いですが、子犬のためだと割り切って!
◎あまり長い間無視し続けない
3-8.無駄吠えの抑制
無駄吠えを放っておく、もしくは子犬が吠えたら要求に応えることを続けていると、子犬は「吠えると何でも言うことを聞いてくれる」と思ってしまいます。
そのため、お腹が空いたとき、散歩に行きたいとき、ゲージから出して欲しいときなど、自分のわがままを通すために人間の都合構わず吠え続けるようになってしまいます。
さらに、インターホンや電話が鳴った際や、人の気配がしただけで吠えるケースもあります。
そうなると、近所迷惑や仕事・家事の妨げになったり、子どもや他の犬に恐怖心を与えてしまう可能性もあるでしょう。これから先、飼い主と子犬がお互いストレスなく暮らすためにも、無駄吠えは子犬のうちに抑制することが必要なのです。
無駄吠えを抑制する方法は次の通りです。
①吠えられても無視をする。飼い主は子犬の「吠え」に反応しないようにする
②いろんな音を体験させて慣れさせる
③外に出れるときは、他の犬や人間とたくさん触れ合わせる
<point>
◎甘やかさない、と心を鬼にして取り組む
◎吠えている間に叱らず、吠え止んだら褒めてあげる
3-9.散歩に向けたしつけ
犬の健康を保つためには、毎日の散歩が不可欠です。人間は「やっと子犬と散歩ができる!」と嬉しくなってしまいますが、子犬にとっての外界はとても大きな冒険だということを覚えておきましょう。
単に外に出れば簡単に散歩ができるものではなく、散歩デビューの前、散歩デビューをしてからしばらくはしつけが必要になります。不意の怪我や事故を防ぐためにも、しっかりとしつけをした上で散歩デビューをしましょう。
散歩デビューのためのしつけを始める時期としては子犬が初めて外に出るワクチン接種の頃がベストで、具体的には生後2〜3ヶ月頃になります。実際に散歩ができるのは、最後のワクチンを接種してから2週間程度経ってからですが、ワクチン接種のために人間やほかの子犬と関わる機会が増えてくるため、少しずつ外界に慣れさせることが必要です。
散歩のしつけは具体的に次の通りになります。
【散歩デビュー前】※慣れ親しんでいる家の中でおこなう
①散歩のときに付けるハーネス(首輪)を見せて、臭いを嗅がせる
②子犬がハーネスに不安を感じていないようなら、おやつをあげ、食べている間にハーネスを装着する
③ハーネスをつけたら褒めてあげ、しばらくそのまま遊ばせる
④ハーネスに慣れてきたら、リードを装着してみる
⑤リードを付けても気にする様子がなければ、そのまま室内を散歩してみる
<point>
◎①〜⑤は1日で完了しなくても大丈夫。子犬の性格に合わせて気長に取り組もう
◎リードやハーネスに不安感を持たず、噛んだり気にしたりしないことがゴール
【散歩デビューしてからしばらく】
①子犬がリードを引っ張って歩いてしまう場合は、一度立ち止まり、リードが少したるむ状態にして再度歩き始める。何度も繰り返す
②拾い食いをしてしまう場合は、口に入れようとした瞬間、すぐに制止する。拾い食いを諦めたら褒めてあげる。
<point>
◎最初はドッグランなどの安全な場所で10分〜20分程度で十分。徐々に慣れさせていく
◎1日2回、30分程度の散歩ができるようになることがゴール
4.子犬のしつけを成功させるコツ3つ
子犬のしつけ方法について具体的に説明してきましたが、「本当に子犬が言うことを聞いてくれるのだろうか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
子犬のしつけを成功させるには3つのコツを守ることが重要です。3つのコツとは
・1回のしつけは1〜3分以内に終わらせる
・指示語は統一する
・1つを覚えるまでは集中して繰り返す
という点です。
それぞれについて、具体的にどのような点がコツになるのかを、詳しくお話ししていきましょう。
4-1. 1回のしつけは1〜3分以内に終わらせる
子犬のしつけを成功させるためには、1回のしつけを1〜3分程度で終わらせることがポイントです。犬と人間は経過する時間の感覚が違いますし、長時間やっていると子犬にとって大きなストレスとなり、しつけ練習が嫌いになってしまう可能性があるからです。
「もう1回やったらできるかも!」と飼い主側がついつい粘ってしまうこともありますが、長くても3分やったら終わりにするようにしましょう。
子犬のしつけは、最初は物足りないくらいで十分です。日数をかけて何回も繰り返してしつけをしていくうちに覚えていくので、気長に取り組むことが大切です。
4-2. 指示語は統一する
子犬をしつけるときは、指示語を統一するようにしましょう。例えば、「ハウス」のことを、「おうち」や「戻って」などと混同しないということです。
子犬は人間の言葉をしっかり聞き取り、行動と関連づけて覚えようとしています。指示のたびに言葉が違うと混乱を招いてしまいなかなか覚えることができませんので注意しましょう。
4-3. 1つを覚えるまでは集中して繰り返す
子犬のしつけを成功させるには、1つのしつけを覚えるまでは集中して繰り返すことです。同時に複数のしつけを覚えさせようとしたり、昨日は「トイレ」をやったのに、今日は「待て」をやってみる、というようにしていると、子犬が混乱してしまいます。
時間をかければ覚えられないことはありませんが、どちらも中途半端になる可能性が高いですし、かなり時間がかかります。
遠回りのようでも、一度しっかりと1つのしつけに集中して覚えさせてから他のしつけに移った方が、結果的に効率よくしつけることができるのです。
5.子犬のしつけをおこなう際の飼い主の心構え2つ
次に、子犬のしつけをおこなう際の飼い主の心構えについてもお話ししておきましょう。子犬のしつけをおこなう際は、次の2つの点を頭に入れておくことが必要です。
・愛情をもってしつけをおこなう
・飼い主が焦らない
この2点の心構えが必要な理由について、それぞれもう少し具体的に説明していきますね。
5-1. 愛情をもってしつけをおこなう
子犬のしつけをおこなう際は、愛情をたっぷり持つことが大前提です。愛情をもって接することで飼い主と子犬との信頼関係が構築され、子犬が安心してしつけを覚えることができるようになります。
もちろん飼い主さんたちはみんな迎え入れた子犬に愛情を持っていることとは思いますが、ついしつけをすることに夢中になってしまい、
「なんでできないの!」
「イライラする…」
などという気持ちが高まってしまうこともあるかもしれません。
ですが、子犬は飼い主の気持ちを敏感に感じ取ってしまいます。そのため、しつけをする際は今一度子犬への愛情を思い出して接するようにしましょう。
例えば、
「あーもう、忙しいのにしつけをしなければならない」
「他の子犬はみんなできるのに、なんでうちのだけできないの?早く覚えてくれないかなあ」
などというネガティブな気持ちはしつけに悪影響を及ぼすということです。しつけをおこなう際は子犬を不安にさせないよう、たっぷりの愛情を与えてあげましょう。
5-2. 飼い主が焦らない
先ほどの「しつけは愛情を持っておこなう」という点にもつながりますが、しつけをおこなう際は飼い主が焦らないことが大切です。
子犬は敏感なので、飼い主の気持ちをすぐに感じてしまうからです。
「早く覚えて!」と飼い主が焦ってイライラしていたりピリピリしていたりすると、子犬が不安になってしまい、なかなかしつけを覚えることができません。
とは言え、子犬のしつけをおこなっていると、「どうしていつまでも覚えてくれないんだ」と焦りを感じてしまうことも多いでしょう。
そんな時は、子犬も人間と同じように個体差があり、調子がいい時もあれば悪い時もあるのだということを思い出してくださいね。
最初は覚えられなくても、繰り返していけばいつかは覚えてくれます。「いつかできればいいんだ」というくらい気長に取り組むつもりでしつけをおこなうようにしましょう。
6.子犬のしつけでしてはいけないこと
子犬のしつけでは、してはいけないことがあります。これから説明する「してはいけないこと」を事前に把握し、子犬のしつけに失敗しないようにしましょう。
子犬のしつけでしてはいけないことは次の3つです。
・名前で怒らない
・トイレの最中に怒らない
・力で押さえつけない
それぞれについて、もう少し詳しく説明していきましょう。
6-1.名前で怒らない
子犬のしつけでしてはいけないことの1つ目は、子犬の名前で怒らないことです。子犬は怒られた状況をさまざまな条件を組み合わせて総合的に覚えていくため、もし名前で怒られるとその名前がダメなことだと思ってしまいます。
怒るときは、
・ダメ
・ノー
など、名前以外の短い言葉で指摘するようにしましょう。
6-2.トイレの最中に怒らない
先ほどの「名前で怒らない」と同様、トイレの最中に怒ってしまうとトイレが嫌なものとしてインプットされてしまいます。
そうなると、トイレをすることがダメなことだと感じたり、その場所でトイレをできなくなってしまう可能性が出てきます。
トイレで排尿・排便ができなくなると、子犬が他の場所で粗相したり、排尿・排便を我慢して身体に負担がかかることがあります。
そうなると、子犬にとっても飼い主にとっても負担になるので、トイレの最中に何かあっても怒らないようにしましょう。
6-3.力で押さえつけない
当然ですが、子犬がなかなかしつけを覚えないからと言って、力で押さえつけるようなことはしてはいけません。力で押さえつけると、子犬が飼い主や人間に恐怖心を覚えてしまい、しつけができないどころか信頼関係も育めないからです。
例えば、
・子犬の頭を上から押さえつける
・鼻を長い間つかみ続ける
・無理矢理座らせる
といった行為は恐怖心しか生まないので、絶対にしないようにしましょう。
7.子犬の食ふんには気をつけよう
犬がふんを食べてしまうことを「食ふん」と言います。人間ではありえない行動なので、最初に見たときはびっくりするかと思いますが、実は動物にはよく見られる行動です。
ですが、犬にとって「ふん=汚物」という認識はありません。食ふんをする原因は4つあります。
①好奇心や遊びの一貫
②片付けるつもり
③未消化のドッグフードが混ざっている
④寄生虫、糖尿病などの症状の一貫
このように、犬がふんを食べてしまうのは、決して悪気があるものではないのです。
とは言え、食ふん行動は喜ばしいことではありませんし、ふんを食べた子犬とじゃれあっているうちに、飼い主側への健康被害が出る可能性も否めません。そのため、食ふんが見られたら、早めに対処をする必要があります。
食ふんをやめさせる方法としては、主に次の4つの方法があります。
①「ふん」をすぐに片付ける
②「食ふん防止グッズ」を利用して「ふん」を美味しくないものだと認識させる
③子犬が便をしたらほめて遊んであげることで「ふん」からの興味を削ぐ
④手作りご飯に切り替えて消化不良を解消する
手作りご飯に関しては、自己判断でおこなうと犬にとっての適量や食べさせていいもの・悪いものの判断がつかない可能性があるので、プロのレシピを参考にしましょう。
弊社のHPでは犬の手作りご飯を専門にした日本最大級のレシピ共有サイトを更新しています。初心者でも簡単に作れるレシピばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
さらに、食ふんを防ぐ方法についてもっと詳しく知りたい人は、「【犬の食ふん対策】やめさせるにはどうする?」の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
8.まとめ
いかがでしたか?子犬のしつけを開始する時期や、教える順番、しつけのコツなどについて解説して来ました。
最後にこの記事をまとめると、
◎子犬のしつけは生後2〜3ヶ月から始め、成犬になる1歳までに終わらせるのが理想
◎子犬のしつけは生後2〜3ヶ月からだが、飼い主との信頼関係が築かれてからおこなう
◎子犬のしつけの順番は
・名前を覚えさせる
・アイコンタクト
・トイレ
・ハウス
・待て
・甘噛み抑制
・無駄吠え抑制
・お散歩のためのしつけ
◎子犬のしつけを成功させるコツは3つで、
・1回のしつけは1〜3分以内に終わらせる
・指示語は統一する
・1つを覚えるまでは集中して繰り返す
◎子犬のしつけをおこなう際の飼い主の心構えは2つで、
・愛情をもってしつけをおこなう
・焦らない
◎子犬のしつけでしてはいけないことは3つで、
・名前で怒らない
・トイレの最中に怒らない
・吐いて怒らない
となります。子犬のしつけは根気がいることなので、「なかなかうまく行かない」と感じることもあるかもしれません。ですが、この記事で説明した順番とコツを実践していけば、正しくしつけを教えることができるでしょう。