秋の味覚といえばさつまいもですよね。旬のさつまいもを愛犬にあげたいと思う飼い主さんも多いのではないのでしょうか。
そこで気になるのがさつまいもの安全性ですが、さつまいもは犬が食べても大丈夫な食材です。しかし、生のままでは消化しづらいデンプンが多く含まれているので、与える際には十分加熱しなければなりません。また、さつまいもは甘みが強い分、与える際に注意点があります。
今回は、犬にさつまいもを与えるときの注意点や、健康面でのメリット・デメリットについて紹介します。「愛犬にさつまいもをあげていいの?」と疑問に思っている方は、ぜひチェックしてみてください。
さつまいもに含まれる成分
犬にさつまいもを与える際は、皮をむいて十分に加熱してあげるほうが無難です。以下では、加熱したさつまいもに含まれる成分を中心に紹介します。
食物繊維
さつまいもには、食物繊維が多く含まれています。食物繊維には腸内環境を整え、排便を促す作用があるので、デトックス効果が期待できます。愛犬の便通を整えたいときに、おやつとしてさつまいもを取り入れるといいでしょう。
ビタミンC
さつまいもは、加熱してもビタミンCが残ります。ビタミンCのほか、ビタミンEやビタミンB6などが多く含まれているのが特徴です。
昔の動物栄養学では、犬は肝臓内でビタミンCを生成するため、外から取り入れる必要はないという考えがありました。しかし、犬の肝臓病や骨・関節トラブル、皮膚トラブルなどにビタミンCは有効に働くので、愛犬の健康を守るためにさつまいもはおすすめです。
カリウム
さつまいもにはカリウムが含まれており、体に溜まった塩分を尿と一緒に外へ排出する作用があります。塩分を排出させることで血圧を下げ、心臓の働きを正常に保つ重要な役割を担います。
ただしカリウムを過剰に摂取してしまうと、高カリウム血症を発症しやすくなるため注意が必要です。また腎機能が低下している場合は、カリウムを過剰摂取していなくても高カリウム血症になる可能性があります。与え過ぎないように量を調節してあげましょう。
さつまいもによる健康面のメリット
犬にさつまいもを与えることで得られる主なメリットは、以下の2つです。
便秘の改善
さつまいもには腸内環境を整える食物繊維が豊富に含まれているので、便秘の改善が期待できます。数日に1回しか排便しない、便秘がちで便が固い犬に与えるといいでしょう。
免疫力の向上
さつまいもに含まれるビタミンCやビタミンEは、脂質の酸化を防ぎ、ダメージを緩和する作用があります。
免疫力が上がり、風邪を引きにくくなったり病後のケアや治癒が早くなったりなどの効果が期待できるでしょう。運動量が多い犬にも、体へのダメージ緩和や疲労回復が見込めます。
さつまいもによる健康面のリスク
さつまいもによって得られるメリットはたくさんありますが、リスクもあります。リスクを把握したうえで愛犬にさつまいもを与えるようにしましょう。
アレルギー
さつまいもはアレルギーを引き起こしにくい食材ですが、まれにアレルギー症状が出る犬がいます。はじめてさつまいもを与えるときは少量ずつにして、様子を見るようにしましょう。
アレルギー症状としては、かゆみや下痢、嘔吐などが挙げられます。さつまいもを与えたことでアレルギー症状が出た場合は、すぐに動物病院に行きましょう。
肥満
さつまいもはカロリーが高く、糖質も多い食材であるため、大量に与えてしまうと肥満になってしまいます。
犬が肥満になると、糖尿病や免疫力の低下、関節炎などの骨関節疾患などが発症する恐れがあります。そのため、量と頻度には気をつけて与えるようにしましょう。
シュウ酸カルシウム尿結石
さつまいもには、皮の部分にシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸はシュウ酸カルシウム尿結石を引き起こす原因となる成分です。
シュウ酸カルシウム尿結石になると、頻尿や血尿、排便痛などが見られます。シュウ酸は皮をむいた状態でしっかりとゆでると取り除けますが、体質的に結石ができやすい犬には、与えないほうがいいでしょう。
消化不良
さつまいもは生のままであげると消化不良を起こし、下痢や嘔吐をしてしまう場合があります。与える際はゆでたり蒸したりして、しっかりと加熱してあげましょう。
また、さつまいもの皮は固い繊維を多く含んでいるため消化しにくく、消化不良を起こす可能性があります。大きいサイズのままあげると喉に詰まらせてしまうこともあるので、皮はむき、ひと口サイズに切って与えるようにしましょう。
犬に与えるさつまいもの量や頻度の目安
さつまいもは、犬の1日総カロリー量の10%程度に抑えると、与え過ぎになりません。加熱したさつまいものカロリーは、100gあたりおよそ140kcalです。実際の体格や運動量によって異なりますが、犬の体格別の目安を見てみましょう。
・体重4kg未満の超小型犬:約20gまで
・体重10kg以下の小型犬:約40gまで
・体重25kg未満の中型犬:約100gまで
・体重25kg以上の大型犬:約150gまで
また、犬にさつまいもを毎日与えてしまうと甘さに慣れてしまい、普段のドッグフードを食べなくなる可能性があります。おやつや特別な日に与えるようにしましょう。
犬にさつまいもを与えるときの処理の仕方
犬にさつまいもを与える際は、皮をむいてしっかりと加熱し、ひと口サイズに切ってあげましょう。加熱処理としておすすめなのは、以下の3つです。
さつまいもをゆでる
さつまいもを輪切りや半分にして、竹串が通るくらい柔らかくなるまでゆでましょう。低音でゆっくり火を通すと甘みが出ます。与えるときはやけどをしないよう、しっかりと冷ますことが大切です。
さつまいもを蒸す
輪切りにしたさつまいもを、蒸し器や電子レンジで蒸します。甘みを引き出すには、低温で時間をかけて蒸す方法がおすすめです。
電子レンジで蒸す場合は、さつまいもにフォークで数ヶ所穴を開けて、キッチンペーパーや新聞紙に包んでから加熱します。加熱したあと、そのまま5分ほど蒸したら完成です。
さつまいもを焼く
オーブンや電子レンジを使って加熱すると、ホクホクの焼き芋が完成します。加熱したあとは、皮をむいてしっかりと冷ましてから与えましょう。焼き芋の外側だけでなく、中まで冷めているかを確かめてからだと安心です。
さつまいもを食べさせないほうがいい犬の状態
以下の状態の犬には、さつまいもを食べさせないほうがいいでしょう。
太り気味や糖尿病の場合
さつまいもはカロリーや糖質が高い食材です。太り気味になっている犬や、糖尿病の犬には控えたほうがいいでしょう。
結石の経験がある場合
さつまいもにはシュウ酸が含まれているので、多量に摂取するとシュウ酸カルシウム尿結石を引き起こします。結石になったことがある犬の場合は、さつまいもを与えないほうが安心です。
腎臓や心臓に障害がある場合
腎臓病や心臓病にかかっていると、カリウムが体に溜まりやすくなります。さつまいもにはカリウムが豊富に含まれているため、与えると不整脈など高カリウム血症の症状が出るかもしれません。腎臓や心臓に障害がある犬には、さつまいもを控えましょう。
消化機能が未熟な子犬の場合
消化機能が未熟な子犬にさつまいもを与えると、消化不良や下痢を引き起こす可能性があります。さつまいもを与える場合は、成犬フードに切り替えてからにしましょう。
まとめ
さつまいもは犬に与えても大丈夫な食材です。ただし、さつまいもはカロリーや糖質が高いため、与え過ぎには注意しなければなりません。
犬にさつまいもを与える場合は、皮をむき、しっかりと加熱する方法がおすすめです。まれにアレルギー症状が出るので、さつまいもを食べたあとに下痢や嘔吐などの症状が出たら、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。