人間と同じように、犬にとっても歯磨きは大事なお手入れのひとつ。しかし、「子犬の歯磨きはいつからするの?」「歯磨きのやり方はどうしたらいい?」と、子犬の歯磨きに関して悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
今回は、子犬の歯磨きはいつから?といった疑問の解消から、歯磨きの方法や頻度、楽しく歯磨きするコツまで紹介します。子犬の歯に関する基礎知識についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
子犬のうちから歯磨きは必要?
子犬のうちはまだ歯石が少ない傾向にありますが、子犬の頃から歯磨きは必要です。子犬の歯磨きデビューは、早ければ早いほど良いといわれています。子犬が口の中を触らせてくれるようになったら、歯磨きの練習を始めましょう。
理想は歯ブラシを使っての歯磨きですが、最初から焦る必要はありません。まずは味付きの歯磨きペーストをなめさせたり、指に巻いたガーゼで歯を磨いたりするところから始めて、愛犬に「歯磨きが楽しい」と思わせることが大切です。
歯磨きを成犬になってから始めると、慣れるまでに時間がかかる傾向があります。子犬の間から歯磨きに慣れること、歯磨きを習慣化することを目標にしましょう。
子犬の歯磨きの方法
歯磨きは大切なお手入れですが、いきなり愛犬の口に歯ブラシを入れるとびっくりしてしまうかもしれません。そのまま歯磨きが嫌いになってしまう可能性もあるので、しっかりと段階を踏みましょう。
以下では、子犬と初めて歯磨きする際の練習方法を、ステップ別に紹介します。
ステップ1:犬の口元・歯に触る
まずは、愛犬の口元や歯、歯ぐきに触る練習をします。触らせてくれたら特別なごほうびをあげて、たくさんほめてあげましょう。
触る前に味付きの歯磨きペーストや、デンタルジェルを舐めさせる方法もおすすめです。「歯磨きは楽しいこと」だと認識させることが重要なので、愛犬が抵抗を示す場合は無理せず、数日・数週間かけて慣れさせてあげましょう。
ステップ2:歯磨きシートで磨く
ステップ1をクリアしたら、次は歯磨きシートで磨きます。歯磨きシートがなければ、ぬらしたガーゼやコットンで代用してもかまいません。歯磨きシートはひらひらしていると犬がじゃれてしまうことがあるので、しっかりと指に巻いておくと安心です。
磨いている間は「いい子だね」「上手だね」とたくさん声をかけ、ごほうびをあげましょう。
ステップ3:歯ブラシで磨く
最終ステップでは、歯ブラシを使って磨きます。歯ブラシは必ず犬用のものを使用し、必要であれば犬用の歯磨き粉や歯磨きジェルを用意しましょう。
最初は指で触る練習と同じように、歯ブラシを口の周りに当てていきます。いきなり歯ブラシを口に入れるのではなく、徐々に慣らしてあげましょう。
次に、親指でやさしく上唇を持ち上げて、歯ブラシを歯に当てていきます。初めは磨こうとせず、当てるだけで大丈夫です。少し当てたらほめて、ごほうびをあげましょう。
歯ブラシに対して抵抗感がなくなったら、少しずつ歯ブラシを動かして磨いていきます。歯石が付きやすい第4前臼歯や上あごの奥歯は、念入りに磨きましょう。どうしても歯ブラシに慣れない場合は、愛犬の好みの味がする歯磨きジェルを使ってみると、上手にできるかもしれません。
子犬の歯磨きの頻度
犬の歯磨きの頻度は、子犬や成犬に関わらず1日1回が理想です。しかし回数よりも大切なのは、歯磨きを長く継続することです。歯磨きを嫌がる犬の場合は、1日ですべての歯を磨こうとせず、日をまたいでケアしてあげましょう。
犬の歯垢が歯石に変わるスピードは、約3~5日といわれています。放っておくとすぐに歯石がたまってしまうため、定期的な歯磨きが欠かせません。子犬の間はまだ歯石や口臭が深刻な状態ではないはずです。まずは歯磨きを習慣づけることを目標にして、小さい頃から愛犬を歯磨きに慣れさせましょう。
歯磨きを楽しいと感じてもらうコツ
愛犬のためにも、毎日の歯磨きはできる限り楽しくしてあげたいですよね。以下では、歯磨きを楽しいと感じてもらうコツについて紹介します。
ごほうびを使って練習する
「歯磨きをしているのにおやつをあげてもいいの?」と疑問に思うかもしれませんが、歯磨きの練習は犬に歯磨きを受け入れてもらうことが目的です。
歯磨きに慣れない子犬の間はとくに、「歯磨きはごほうびがもらえる楽しい時間」だと認識させることを重要視しましょう。段階を踏んで徐々に慣れさせていけば、受け入れてくれる犬がほとんどです。
嫌がる前に止める
嫌がるまで歯磨きを続けると、歯ブラシを見ただけで逃げてしまうようになる場合があります。無理におさえたりせず、嫌がる前に止めてあげましょう。歯磨きを嫌がる原因としては、以下が考えられます。
・普段叱るときにマズルをつかんでいる
・歯ブラシをいきなり口の中に入れている
・飼い主さんが怒っている、イライラしている
・歯ブラシが乾いていて痛い
・歯ブラシの当て方が強くて痛い
楽しく歯磨きするためには、飼い主さん自身が楽しそうでなければなりません。怒ったりイライラしたりせず、愛犬と一緒に楽しく歯磨きをしましょう。
痛みがあるときは歯磨きをしない
子犬の場合、乳歯の生え変わり時期になると歯ぐきが赤くなることがあります。このような症状のときに歯磨きをすると痛みをともなうので、無理にするのは避けましょう。
また、歯ブラシを軽く当てるだけで出血したり痛がったりする場合は、歯周病かもしれません。歯磨きは中断し、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
子犬の歯の生え変わりについて
子犬の歯の基礎知識として、生え変わりについても知っておきましょう。
人間と同じように犬も乳歯があり、永久歯に生え変わります。子犬の乳歯が生え変わるのは、生後4~6ヶ月頃です。28本の乳歯が抜けて、42本の永久歯に生え変わります。永久歯に生え変わるのは、生後7ヶ月~1歳頃といわれています。
生え変わりの時期の犬は、口の中に違和感があるようです。口の中をもぐもぐ動かしたり、さまざまなものを噛み始めたりします。生え変わりの時期は、気兼ねなく噛んでもらえるような、噛めるおもちゃを用意してあげましょう。
生え変わりの注意点として挙げられるのが、乳歯が抜けきらないうちに永久歯が生えてしまう乳歯遺残です。
乳歯遺残になると、歯並びが悪くなったり歯石がたまりやすくなったりする傾向があります。最悪の場合は抜歯が必要になるので、乳歯遺残の傾向が見られたら早めに動物病院で診察してもらいましょう。
まとめ
子犬の歯磨きは1日1回が理想ですが、まずは歯磨きに慣れることが大切です。長く継続できるように特別なごほうびを使って、愛犬に歯磨きを受け入れてもらいましょう。
歯磨きをする際は、いきなり口の中に歯ブラシを入れるのではなく、最初は指、次に歯磨きシート、次に歯ブラシと段階を踏んで進めます。焦らずに時間をかけて、歯磨きは楽しい時間だと認識させてあげることが大切です。
歯ブラシを当てたときに血が出たり痛がったりする場合は、歯周病の可能性があります。歯周病の疑いがある際は、すぐに動物病院で診察してもらいましょう。また乳歯から永久歯に生え変わる時期は歯ぐきが赤くなり痛みが出ることがあります。
歯磨きは愛犬に無理をさせず、楽しくしてあげることが重要です。愛犬の口のケアまでしっかり行い、健康を保ってあげましょう。